Lちゃんの成長

  孫がいると、ときどき「事件」と称したくなるようなうれしいことに遭遇します。先月末、久し振りに会ったLちゃんがそうでした。いつもは忙しいママが、Lちゃんを連れて泊まりがけで我が家に遊びに来てくれたときでした。以前来たときのように、東京から電車に乗って来る二人と私の妻が途中で合流し、一緒に鎌倉で買い物や食事を楽しんでから、我が家に来ることとなり、私は夕方まで家で待っていました。
  いよいよ来訪。玄関先で「ヨコハマのおじいちゃーん」というLちゃんの声が聞こえます。まずこれに大驚き。前回、8月の合同お誕生会で会ったときも、それ以前の何回も、にこにこ笑いかけてはくれますが、「おじいちゃん」と言ったり、自分からは抱っこされに来てはくれず、「一緒に過ごす時間が少ないから仕方がない。そのうち好きになってくれるだろう」と気長に待つ気になっていたのですが、Lちゃんの「おじいちゃん愛」が一挙に噴出したようです。
  次ぎにびっくりしたのが、玄関先で可愛い靴を自分で脱いで、きちんと揃えてから上がってきたこと。上がってきてからは、「ヨコハマのおじいちゃん」と「ヨコハマのおばあちゃん」の連発です。妻が、「おばあちゃん、ちょっと卵を買ってくる」と、近所の美味しい地卵を売る店に出ていくと、「ヨコハマのおばあちゃんは卵屋さんに卵を買いに行ったよ」と、2語文どころか5〜6語文をしっかり喋ったのには、心底感心しました。「Lちゃんも卵屋さんに卵を買いに行ってくる」と、出かける真似までします。
  Lちゃんの今回の滞在中強く感じたのは、2歳3ヶ月にしては言葉がとても丁寧で豊富なことです。実際、Lちゃんママの話では、地元の幼稚園に、3歳児からの本入園の前提化している、2歳児のプレ保育の相談に行ったところ、しっかりとした会話ができる子なので、先生から本入園の相談に来たと勘違いされたとのこと。昔、発達心理学の本で母親と子供のコミュニケーション言語に関し、文法が正確な比較的長い文章で論理的な関係性もあり、誰が聞いても明確に分かる「洗練言語」と、文法が単純、不正確で文も短く紋切り型のため相互理解が発達しない「限定言語」とがある。子供の思考力を伸ばし、主体的な意欲を引き出すためには、洗練言語を母親が使い、子供にも使うように促さなければならない。とあったことを思い出し、とてもうれしいことでした。

  夕食までの時間は、私とたっぷり遊んでくれました。最初は下でカードを広げて遊びましたが、次には「ヨコハマのおじいちゃん 一緒に2階に行こう!」とのお誘い。喜んで一緒に2階に行って、書棚に飾っているミッキーマウスなどの人形を出してやると、それをベッドの上に並べ、「ミッキマウス、ミッキマウス♪」と、ディズニーの歌を陽気に歌っています。自分の肩ほどの高さのあるベッドによじ登ったり、飛び降りたり。しばらく遊んでから階段を下に降りるときに感心したのは、小さい子がよくやるように、階段に手をついて後ろ向きに降りるのではなく、大人と同じように前向きで降りることができたこと。これは、Lちゃんのお家が3階建てで階段が多いので得意になったのかもしれません。
  一緒にノンノ様のお参りをして、どの子も大好きな、鉦鳴らしをしたり、お香の粉をつまんで鉦の中に入れて遊んだり。パソコンでアンパンマンの画面を出して遊んだりもしました。夕食をたっぷりときれいに食べた後は、子ども用椅子に座ったままで、何曲も童謡を歌ってくれます。レパートリーの多さにまた感心。Lちゃんの健やかな成長と、とても心が通い合った1日に深い満足感を覚えて眠りについた私でした。
  翌日は出勤日のため、まだ寝ているLちゃんに心を残しつつ家を出ることに。後でLちゃんママにもらったメールによると、Lちゃんは、朝起きるなり、「ヨコハマのおじいちゃん♪」と、階下の私のところに行こうとしたそうなので、本当に残念なことでした。その日は、Lちゃん母子に私の妻も付き添って、ヨコハマのアンパンマンミュージアムに遊びに行ったとのこと。終わって、駅で別れるとき、Lちゃんは「ヨコハマのおばあちゃーん」と、大泣きしたそうです。