地震対策

   「防災士」という資格を取得するための研修を受講してきました。2日間の研修(講義のほか、避難所設営の図上訓練等もある)の終わりに行われる試験にも合格し、資格証の交付を待つばかりです。で、この研修で学んだ最大のことは、日本という国は世界的にも稀なる自然災害大国であるということと、自分自身の生活に即して考えれば、自宅の耐震補強が最優先課題だということです。以下、早速、受け売りの知識を交えての報告です。
 まず、自然災害大国だということに関して。日本の国土面積は地球上の陸地の400分の1にしか過ぎないのに、日本列島及びその周辺から生じる地震や火山噴火のエネルギーは、地球全体の約10分の1に達しているそうです。これは、地球の表面はおよそ16枚のプレートと呼ばれる岩盤で覆われていて互いに動きあっており、その境界あたりで地震活動や火山活動が活発なのですが、なんとその16枚のプレートの内4枚が日本列島の周辺海溝にあって、ひしめき合っていることから来ているとのこと。
  また、日本列島の約7割は山地で、しかも脆弱な上、多くの断層・構造線(これは内陸型の地震を起こす)が走っています。梅雨前線や台風等の豪雨もあり、年平均降雨率は世界平均の約2倍の1,700ミリ超と、世界で4番目の多雨国です。活火山は110で世界第2位。マグニチュード8.0以上の大地震も世界の約2割が日本で起きています。列島に沿って長く伸びる海岸線は常に津波の襲来の恐れがあり、それは、地球の裏側で起きた地震によっても襲来します。
  これら、古来から日本列島で生じてきた自然災害に対し、日本人は仏教的な無常観もあって、天災や運命といって諦めてきた一方、四季の変化等によってもたらされる自然の美しさや快適さを楽しんできました。ここで峻別しておかなければならないのは、「自然現象」と「自然災害」です。地震も台風も大雨も自然現象の一つなのですが、それに対する備えが無くて人の命や建物等に被害が生じるのが自然災害です。つまり、きちんと対策を講じておけば、自然現象が猛威をふるったときにも、被害を皆無にはできないまでも、少なくすることはできるということです。自然災害に対し、あきらめるのではなく、といって自然を克服するという考えでもなく、できるだけの備えをして「やり過ごす」ことが必要だと思います。

  さまざまな自然災害の内、首都圏に住む私たちにとって、やはり一番必要なのは、大地震に対する備えです。台風や大雨などは、気象予報情報で未然に知ることができ、外出をしない、雨戸を閉めておく、必要な場合は予め避難所に避難するなど、被災しない、あるいは、少なくとも命は助かる対策を講じることはできますが、いまだに予知が困難な大地震の襲来に対しては、「必ず来る」という想定の元に対策を講じておかなければ生命の危険も多くあります。そして、その対策で一番重要なことは、居住する家屋の耐震補強です。阪神淡路大地震では6,400人余の方が亡くなられましたが、その8割以上は木造住宅等の倒壊による圧死や窒息死であったということ。しかも、救援の遅れが原因というよりも、ほとんどの方が地震直後から短い時間内に亡くなられているということです。つまり、地震による建物の倒壊がなければ、大半の方は助かったし、倒壊した建物が道路を塞いでその後の火災や人命救助にも影響が出るということも無かったことになります。
  阪神淡路大震災では、10万棟以上の家屋が全・半壊したそうですが、その内特に被害が大きかったのが、1981(昭和56)年の建築基準法改正以前の耐震基準で建てられた古い木造住宅でした。同年以降の新耐震基準で建てられた木造住宅の被害は全般的に軽微であったとのことで、建て替えや、古い建物の耐震補強が大きな課題として明らかになりました。しかし、現在もわが国の木造戸建て住宅の4割近くが耐震性不十分のままとなっており、昨年の東日本大震災も踏まえて、その対策がますます大きな課題となっています。
  というわけで、防災士研修の際の講師が特に強調していたのが住宅の耐震補強の重要性です。地域の防災力の要となることが期待される防災士自身が、いざというときに自宅の倒壊により亡くなったり大けがをしたらどうしますか!ともハッパをかけられ、さすがの私も、真剣に我が家の耐震補強を考えるようになりました。というのは、我が家は、新耐震基準ができる5年前の昭和51年に建築した木造2階建てであり、その後の増築部分も含め、一見まだ丈夫そうですが、専門的に見たら危ないところも多いのではないかと心配です。最近は各自治体が古い住宅の耐震補強を積極的に推進しており、種々の助成策もあるとのことでしたので調べたら、地元横浜市では、無料の耐震診断と必要な場合の耐震補強工事への補助金交付(課税世帯で225万円)を行っていました。早速、無料診断を申し込んでおり、来月早々、専門家に調査に来ていただくことになりました。
  もちろん、我々よりも孫たちの安全の方が大切。ついでに検討をしましたが、Lちゃん一家もYちゃん一家も、東京の市部居住なので、立川断層の存在が心配ですが、住宅そのものは、Lちゃん一家のは鉄筋コンクリ造の3階建てなので、まずは大丈夫。ただ、食器棚やその他の家具の散乱が心配です。Yちゃん、K君の家は、木造ですが、5年前に購入した大手建設会社の新築物件なので安心(2000年の法改正により、耐震基準がさらに強化されています)。但し、パソコンラックや子どものおもちゃ類を入れたラック、大画面TV等の転倒が心配です。両方の家とも、最も肝心なのは、夜寝る部屋です。万一の時に頭上などに固いものが落ちてこないよう、しっかり点検してすぐに対策を講じておく必要があります。また、3.11の際にみんな体験済みですが、万一の時には、電気や上下水道、ガスなどのライフラインが途絶し、復旧にも時間がかかりますし、家族間の連絡等も課題となります。飲料水や食糧等の備蓄、災害伝言ダイヤルの使い方なども含め、できるだけ早期に、防災士として、両方の家にアドバイスに行きたいと思っています。