2017夏② 「チェロが我が家にやってきた」

  クラシック音楽に関しては素人同然の我が家ですが、この夏はクラシック音楽をやや身近に感じることができました。というのが、半年ほど前からチェロを習い始めた孫のLちゃんが、YMCAの水泳教室に参加するために1週間我が家に滞在したときに、チェロを持参してやってきたからです。
  プロのピアニストのママが、一日も練習を休まないようにと、Lちゃんと一緒に楽器一式と、自分で吹き込んだ音程チェックと伴奏用のピアノ曲が入ったiPhoneを持って来て、「午後と夜の2回練習させてください。チェロの扱い方は本人がよく知っていますから」との依頼。実際、ママのコネでやっとお願いしたLちゃんのチェロの先生は、某有名オーケストラのチェロ奏者の方で、レッスンが厳しいので、練習を欠かせないようです。
  で、どうなることやらとの心配は一切無用でした。Lちゃんが練習を始めると言うと、まず私が椅子とチェロ、譜面台、演奏姿勢を鏡に写してチェックするための姿見を配置。その後LちゃんがiPhoneを準備したり弓に松ヤニを塗ったり、チェロの先の金棒をストッパーに充てがって固定したりの準備をしてスタンバイ。目配せをすると、YちゃんかKくんがiPhoneの画面の△に触れて伴奏がスタート。それに合わせてLちゃんの弾く妙なる調べ(?)が流れ出します。

  のこぎりの目立ての時の音のようにもやや聞こえます(!)が、間違いなくチェロの重低音です。曲はウエルナーの練習曲やシューベルトの楽曲など。意外と音量があります。我々はソファに座り、1曲終わる毎に拍手。ママの伴奏が録音ではなく、我が家の古ピアノでの生演奏なら、完全にホームコンサートの雰囲気です。
  コンサートと言えば、毎年7月半ばに開かれるピアノの発表会を我々も聴きに行きましたが、その時Lちゃんは、ピアノの他にチェロの演奏も披露しました。これがチェロの初舞台かと思っていたら、その少し前にもママの友人の持つ音楽サロンでバイオリンの子どもたちとの共演もしており、写真で見ると、なかなか本格的な演奏風景です。こうしてあちこち人前で演奏をしていたら、舞台度胸が付くでしょうし、その度胸は、音楽演奏に限らず人生の様々な場面で生きることではないかと期待しています。
  息子夫婦に言わせると、ピアノもチェロもあくまで趣味としてやらせており、音楽家にするつもりはないとのこと。それでよいと思いますが、こうして音楽を楽しめていることは、Lちゃんがお受験を頑張って、この春無事に某国立大学の附属小学校に入ったお蔭ともいえます。
  それは、一つには当面、高校や大学受験までは、いわゆる受験勉強にガツガツ頑張らずに学校の授業に真面目に取り組んでいけばよいというゆとりを得たことと、もう一つは、この学校に入るまでのお受験で物事に集中して取り組む力を得たということです。
  実際、Lちゃんは我が家に来てからも学校の宿題やピアノやチェロの練習を自分から決まった時間に積極的にやる習慣が身についていました。水泳教室で、向こうまで泳いでいったら、ほとんどの子がロープを伝わって歩いて戻ってくるのに、Lちゃんは逆コースを必ずまた泳いで戻ってきていて、些細なことですが、このような頑張る習慣が自然に身についたのだなと感心しました。
  小さな子どもの過酷なお受験体験に懐疑的な私でしたが、結果が出たから言えることかも知れませんが、良い面もあるというのが現在の結論です。そのような意味で、従姉となるYちゃんの中学受験に向けたお受験も温かく応援していきたいと思っています。