気配り

  気配りといえば成熟した大人にしかできないと思っていましたが、3歳になるかならないかのYちゃんの何気ない発言にそれを感じ、感心することがこの夏に何回かありました。
  一つは、パパに一人だけくっついて、大好きなパパおばあちゃんの家に行ったときのこと。パパとパパおばあちゃんが、亡くなったおじいちゃんに関するいろんな手続きの話などを続けていたら、一人遊びをしていたYちゃんは段々とつまらなくなってきたのか、パパのところに行ってそっと、「メルちゃんがおうちに帰りたいんだって」と告げたそうです。自分が帰りたいと言ったらおばあちゃんをがっかりさせるので、連れてきたお人形さんに自分の気持ちを仮託して伝えたものと思われ、優しい気持ちと気配りにみんなで感心したものです。
  二つ目は、我が家に遊びに来ていたときのこと。昼食を終わってしばらくしてから、「おじいちゃんが絵本を読んであげる」と言って膝に抱き上げ、最初の頁を何行か読んだ時のことです。突然、「おじいちゃんハーミン(歯磨きのこと)した?」と言われてしまいました。ガーリック系のものを食べた後だったのですが、テレビのコマーシャルのように直に「クサイ」と言われなかった分だけ良かったと安堵したものです。もちろんそれからは、Yちゃんに嫌われないよう食後すぐに、徹底した歯磨きに励んでいます。
  三つ目は、やはり我が家での夜、みんなで食事をしていたら、庭のほうから野良猫が2匹、ニャーゴ、ニャーゴと大きな声で睨み合って唸り合っている様子。うるさい限りとなりました。するとYちゃん、「おじいちゃん、猫さんに喧嘩しちゃダメ、仲良くしなさいって言ってきて」と仲裁役を頼んできたのです。「追っ払ってきて」と言うのではない、猫さんに優しい言い方に、これまたみんなで感心した次第でした。
  乳児期から幼児期にかけて、子どもが言葉を習得してどんどん使っていくようになるプロセスは、魔法を見るようです。しかもその言葉が子どもらしい優しさや思いやりが加わって表現されると、とても平和な温かい気持ちになります。Yちゃん語録と、もう少し経ったらLちゃん語録を、写真のアルバムのように溜め込んでいきたいなと思っています。