電子音

  孫ができて現在の子育て事情を垣間見るようになって驚いたことの一つは、おもちゃにコンピューター系のものが席巻していること。Yちゃんが数ヶ月前に買ってもらったおもちゃは、プラスティックの板状のものに複数の大きなボタンがあって、それぞれに可愛い動物の絵などが描いてあり、どれかのボタンを押すと、ボタンごとに異なった童謡が電子音で流れます。Yちゃんは、手で押したり、足で踏んだり!して童謡を聴いて楽しんでいました。
  しかし、このようなおもちゃの問題点は、音楽が鳴る仕組みがブラックボックスで、子どもには何も分からないことです。ボタンの内側の小さなスペースにプロミング化された回路が隠されているのでしょうが、なぜこの小さな塊から音楽が鳴るのか、大人でも普通の人では全く分からないものです。
  昔ながらの卓上ピアノや木琴なら、鍵盤ごとに音階があって音の仕組みが簡単に分かります。また、この夏、Yちゃん一家と河口湖のオルゴールの森という施設に行きましたが、丸い筒状の板の上の突起物を音階ごとの金属板がはじいてメロディを奏でるオルゴールの原理は、アナログ的で仕組みが目に見えます。しかも、ねじを巻いてそれがほどけていく過程で音が鳴ることも分かります。動くおもちゃにしても、自動車や動物のぬいぐるみは昔のものはネジや電池でエンジンが動いていまた。
 子どもには簡単な仕組みのものから与えて、理解力に合わせて段々と複雑なものにしていくほうがよいと思います。少なくともコンピュータ系のものは、乳幼児には不適当なような気がするのですが・・・。とは言っても、今の子どもの周りには、おもちゃだけでなく、その種の機器が溢れています。 
  Yちゃんは、ママとパパがいつも携帯電話のメールで連絡を取り合っているのを見ているので、パパに連絡をしてほしいときには、ママに対して「早くパパにメールして!」などと言い、また、我が家への電話の際、「パパは今パソコンしてるよ!」と説明してくれるといった環境。我が家に来ても、私にパソコンでアンパンマンミュージアム(ここが大好きで既に4、5回行っている)のホームページを出させてから、今度は自分でパソコンのマウスを上手にいじって、同ミュージアムのいろいろな画面を出して楽しんでいます。
  余談ですが、Yちゃんが2歳半の頃、アンパンマンミュージアムに一緒に行ったときのことです。館内のシアターで行われたアンパンマンショーで、アンパンマンが悪さをするバイキンマンをやっつけるというアクション劇の最中、最前列で食い入るように見つめていたYちゃんが突然「ワー」と大泣きを始めました。連られて、周りの小さい子たちもあちこちで泣き声の大合唱。Yちゃんは、アンパンマンとその関連のキャラクターの中ではバイキンマンが一番好きだったのですが、そのバイキンマンがいじめられている?のを見て大いに悲しくなったのでした。大人の基準で「悪者」と位置づけているキャラクターにも幼い子どもたちは優しい目を注いでいることが分かって、とても感動した出来事でした。
  主題に戻って、今の時代に子どもの周りからコンピューター関連のものを遠ざけることが難しいとしても、とりあえず、テレビやビデオやパソコンを見せ過ぎて子どもの目を悪くしないよう、そのことにだけは大人が気をつける必要があると思います。