生物多様性

 生物多様性条約締結国会議(COP10)が名古屋で開かれていますが、それらに関する情報を読むにつけ、我々はもっとその趣旨に添った暮らしをしていかなければならないと切実に感じます。日本は、海に囲まれて南北に長く、雨にも恵まれていて、比較的に生物多様性は豊かであるはずですが、実際には危機的な状況が起きつつあるとか。生物多様性保全の理想型のように言われる日本の里山も、過疎化や高齢化の進行などによって失われつつあるようです。
 地球温暖化を憂えながらちょっとそこまでの買い物にも車に乗ったり、生態系の保全を言いつつマグロを世界一食べたりと、日本人は結構いい加減なところがあり、私もそうなのですが、最近少しだけましな行動を始めました。その一つが、この夏、庭先に3×3メートルほどのネットを張り、ゴーヤを這わせたこと。ゴーヤの苗を4本、つるありインゲンの苗を2本植えたのですが、一面にびっしりと葉が茂り、ゴーヤもインゲンも夫婦二人ではとても食べきれないほどたくさん実が成りました。5月の連休時に苗を植えて7月頃から収穫が始まり、10月の半ばを過ぎた今でもまだ実がたくさん着いています。
 お陰で、猛暑でエアコンの使用が推奨されたこの夏も、エアコンは夜寝るときに少しかけるだけで、日中は葉陰越しの自然の風と扇風機で十分に過ごせました。ゴーヤは、我が家だけでは食べきれずにご近所や集配にきていただくクリーニング屋さんにも何度かお裾分けしましたが、それでもほぼ毎日食べ続けるハメになり、「ゴーヤパワー」でこの夏を乗り切ったと信じています。ネットの向こうの畑に植えたキュウリやナス、シシトウなども豊作でした。
 ゴーヤネットは今年初めての試みですが、成功裡に終わったのは我が家の「循環」がほぼ軌道に乗ったからではないかと感じています。この家に住み始めて既に30年以上、最初から境界線は生け垣にし、庭の片隅にはコンポストを設置して日常的に出る生ゴミや雑草、落ち葉などを入れて堆肥をつくり、その堆肥を庭土にすき込んで土づくりを行ってきました。結果、素人ながら野菜作りは毎年ほぼ順調です。一応の都会なのに、隣の雑木林からはこれまで、モグラ、イタチ、ヘビ、リス、猿、アライグマ(おそらく捨てられたペットが野生化したもの)まで庭に姿を現しました。春には、自然のフキノトウや隣の雑木林から侵食してきたタケノコなども食せます。
 本物の里山保全はとても重要な課題ですが、せめて我が家レベルの「循環」でも、都会の家庭でもっと増えたらいいのになと思う次第です。Yちゃんは、我が家に来ると庭でミニトマトはおろかキュウリももいでその場で丸かじり、ブルーベリーの実を器用に摘んでは黙々と口に入れ続けるなど、自然体験を楽しんでいます。先日3ヶ月を迎えたばかりのLちゃんはまだそんなことはできませんが、天然自然のものを大切にし、衣類や食べ物などすべてオーガニック系のもので徹底しているママの子ですから、満1歳を迎える来年の夏には我が家の純粋オーガニックの収穫物を大いに楽しませてあげたいと思っています。