すもう

 九州場所のTV中継を見ていて、千秋楽は別として、毎日、お客さんの入りがとても少なかったのが気になりました。相撲自体は双葉山の連勝記録を超えることを目指した白鵬の連勝を阻んだ稀勢の里や、ご当地大関魁皇、優勝決定戦にまで絡んだ豊ノ島など、久々に日本人力士の活躍も目立ち、大いに面白かったと思うのですが・・・
 日本の国技の大相撲が外国人力士ばっかりになってつまらないという人もいますが、私はそうは思いません。大相撲の力士はたとえ外国人でも、日本古来の伝統や様式に厳格に即して土俵を務めていますし、ちゃんこ料理や着物など、日常生活も日本人以上に日本的です。そのような意味では、カラーの柔道着やレスリングに似たルールになってしまった柔道の国際化等とは異なり、日本文化が外国人にこれほど尊重されて護られている例はありません。
 私は、ある縁があって、ブルガリア国籍の大関琴欧洲関の後援会に入り応援していますが、大関は真に「気は優しくて力持ち」の礼儀正しい好青年です。大相撲が開催されている間は、これまで何枚も撮った大関とのツーショットの写真と番付表をTVの横に置いて応援していますが、今場所、Yちゃんが我が家に遊びに来て、これを発見。「おすもうさん」「おすもうさん」と大喜びは良かったのですが、3歳の女の子を相手に、何番も相撲を取らされるハメになりました。
 というのはYちゃん、どこで覚えたのか相撲を取るのが大好きで、どすこいどすこいと四股を踏み、見合って見合ってと仕切の真似をしてから私に飛びかかり、力一杯押したり、両手で掴んだ私の身体を左右に激しく揺するのです。で、私が押し出されたり、揺するのに合わせて投げ飛ばされてみせるとキャハハ、キャハハと大声を出して大喜び。「もう一回」「もう一回」ときりがありません。暖房を止めた部屋でやっていても汗が噴き出し、10番目くらいからは息も上がってきて、相撲部屋のしごきとはこんな感じかと思った次第でした。
 Yちゃんのママが小学校6年生の時。運動会の女子の騎馬戦で、白組と紅組に分かれて、馬に乗った選手が相手の選手の帽子を先に取ると勝ち残り、負けると馬を下りるという競技がありました。馬同士がぶつかり合い、選手同士が不安定な馬上で激しく帽子をつかみ合うという、スリリングなもので面白かったのですが、なんと、馬上の選手となった我が娘は、相手方を何組も倒し、紅白最後の一騎打ち戦まで残ってしまいました。最後は惜しくも敗れましたが、女の子の親としてこの騎馬戦での善戦を喜んで良いものかどうか、複雑な気持ちでした。 
 歴史は繰り返すというのでYちゃんもいずれはそのように成長するのか。いずれにしても、相撲好きな孫にちょっぴりうれしく、ちょっぴり心配なことでした。