パパのお腹

  子育て中の娘及び息子の奥さんを見ていて強く感じることは、女性というか母性の、強さ、偉さです。出産という、誇張ではなく命がけの体験をくぐり抜けてくることがまず一番にありますが、深夜の授乳や、日中でも片時も目を外せない緊張、併せて、これも辛いだろうなと感じるのは、妊娠中から授乳中に至るまでの長期間にわたって、アルコールはもちろん珈琲や緑茶の類まで飲むのを我慢していること。カフェインがよくないらしいです。育児の精神的、身体的負担は相当なものがありますが、それでも子ども第一に明るく頑張っていることに、心底感心し、感謝しています。
 それに比べると、娘の夫や息子を見ていると、男性は仕事が忙しくて家にいる時間が短いため、どうしても育児への貢献度は低くならざるを得ないのは仕方ありません。日本の高度成長期に働いてきた私ですが、私の子育て時代よりもさらに仕事に忙しそうで、関わりたくとも関われないのが実情のようです。それでも、娘の夫は、哺乳瓶を持ってYちゃんにミルクをよく与えていましたし、息子は、Lちゃんを抱っこ紐で抱っこして外出したり、二人とも一生懸命にそれなりの役割を果たそうと務めています。
 ところで、我が家に遊びに来ていたとき、Yちゃんとパパが一緒に遊んでいるうちに、いつの間にかソファで横になったパパのお腹の上にYちゃんがうつぶせになって、父子とも気持ちよさそうに眠り込んでいたことがありました。そして最近、Lちゃんと息子とのまったく同じ寝姿の写真が、Lちゃんママから送られてきました。期せずしてそれぞれの父子にまったく同じ姿が見られたのですが、仕事が忙しくて運動不足がちになり、出始めてきたお腹がちょうど良いクッションとなり、子どもの安眠を誘ったようで、二人のお腹の意外な効用に苦笑しました。
 男性の育児参加の必要性が言われて久しくなりますが、少子化を少しでも解決するためには、女性にのみ育児の負担が掛からないよう、日本社会全体に時間的なゆとりが出来て、ワークライフバランスが改善されることが必要です。
 また、高齢化が進む中、時間にゆとりのあるおじいちゃん、おばあちゃん世代が孫世代の育児にもっと関わる社会になっても良いようにも思います。(もっとも私は、子ども達から要請があったとき以外はあまり出しゃばらないようにと、いつも妻にクギを刺されていますが・・・)