夏の想ひ出①・・・「河口湖」

  娘一家が3泊4日、河口湖の小屋で過ごすことになったので、最初の1泊2日を私たち夫婦も合流することにしました。お盆帰省の車の渋滞が予想される中でしたが、出発を午後にしたためか、東名高速は意外と順調で、いつもと同じ2時間ほどで到着。娘一家は中央高速経由ですが、これも順調だったとかで、まだ明るい夕方6時半頃には着きました。ただ、その到着を待ってから、いつも利用するイタリアンレストランに予約の電話を入れたところ、珍しく、「いま満席で、食材も少なくなってきたので、これからだとメニューが十分に出来ませんが・・・」という混み方。さすが、河口湖は今がハイシーズンのようです。仕方ないので、他のレストランで遅い夕食を済ませ、小屋に戻って子ども達を風呂に入れてから、娘の夫と私はチーズをつまみにワインを1本空けました。
  翌日は、まず富士スバルラインの入り口そばの河口湖フィールドセンターに行きました。ここは小屋からも近いのですが、いつもは河口湖畔に行くことが多いので、まだ初めての場所です。ここの目玉は、このセンター横にある神社の地下に存在する、国指定の天然記念物「船津胎内樹型」を探検すること。センター受付でチケットを購入し、私、Yちゃん、Kくんを前抱っこした娘、娘の夫の順におっかなびっくり洞内に入っていきました。私の妻は転んだりしたくないのでと、留守番です。富士山が噴火した際、溶岩流に巻き込まれた樹木がそのまま固まって出来た洞窟内は、背をかがめないと入れないような狭さで薄暗く、壁や天井が迫っています。足下はデコボコで、水が溜まっていて滑りそうです。思わず、Yちゃんが「怖いよう!」と泣き声を上げました。私は、転びたくない一心で慎重に進んでいましたが、Yちゃんに、「汚れてもよいからしっかり壁や床に手を付いてゆっくり進みなさい」と注意して激励。するとYちゃんは、後ろから来るママにも私のセリフをそのまま真似して伝えていました。K君を胸に抱いているので、娘が転んだら大変です。そのような一行を、娘の夫が、買い換えたばかりのビデオカメラで撮影しながら付いてきます。
  面白かったのは、約7、8分の洞内探検を終えて地上に出てきてから。洞窟から出てくる場面を地上側からビデオに撮ったら面白いと思い、また、撮影係だったパパはビデオに映っていないので、「今度はおじいちゃんが撮ってあげるから、パパと一緒にもういっぺん行ってきたら」と言うと、Yちゃんはすぐに、「また行く!」と大喜び。先ほどはとても怖がっていたのに、探検がすっかり面白くなったようです。地上よりも確実に気温が低い、洞内のヒンヤリ感も気持ち良いのかもしれません。再探検をした後、フィールドセンターに入り、富士山に生息する動物の剥製の展示等を見ました。生きた動物しか見たことがないYちゃんは、少し気味悪そうに眺めていました。
洞窟入口
  日本政府は、現在、富士山の世界文化遺産登録をユネスコに推薦していますが、この船津胎内樹型もその評価対象になっているそうです。なお、富士山が「自然遺産」としては推薦されなかった理由は、富士山が既に一定の開発が進んでいることや、かなり改善されつつあるとはいえ、登山道などのゴミの問題があることなどと言われています。ただ、そうは言っても、富士山は自然の宝庫。標高差によって異なる生態系の垂直分布が見られ、絶滅危惧種も含め、植物や動物の種類が豊富で、日本が世界に誇る生物多様性の豊かさの一部を示しており、環境省の「生物多様性センター」も設置されています。
  次いで向かったのは、車で数分のこのセンター。国立だけにとても立派な建物で、生物多様性の必要性や富士山周辺のその状況を子供にも分かりやすいパネル等で示してあります。ありがたかったのは、乳幼児を対象とした遊びの設備もあること。マットが敷かれ、積み木玩具等があるコーナーで、娘とKくんはゆっくり過ごしました。その間、Yちゃんとパパは、大きなスクリーンに映されるビデオ映像を見たり、生物多様性に係るクイズをしたり。面白かったのは、「生物多様性を守るための戦略を提案する」コーナー。紙と筆記具が置いてあり、提案を書いてパネルに貼るのですが、Yちゃんはパパのアドバイスも受けて、「どうぶつのいのちもたいせつにする」と書き、私が「お年と名前も書けば」と言うと、「5さい、Y」と加えました。「まだ4歳でしょ」と言うと、「もうすぐ5歳だから5歳でいいの」とこだわります。大人なら年は少しでも若く書きたいところ、子供の感覚は逆のようです。
  クイズの賞品に動物が描かれたバッジなどを受付でいただき、ついでにクマ除けの鈴を貸してもらって、その後はこのセンターの前に広がる林の中の散策です。富士山麓だけに、「クマ出没注意」の看板が立てられ、実際に数日前に子グマが確認されたとの掲示もありますが、深山の中でもなく、あまり緊張感は持てません。ただ、子供は別のようで、Yちゃんは私の手を強く握り、「クマさん出たらどうしよう」と、不安と「期待」が入り交じった表情です。結局クマが出ることはありませんでした。
  少し遅れた昼食は遊園施設「ドギーパーク」横のレストランで。混雑していましたが、待つこともなく席に案内され、洋食と中華のバイキングを食べることになりました。Yちゃんのプレートにはパパが幾種類か盛りつけて持って来てくれ、Yちゃん自身は葡萄ジュースを注いだコップを抱えるようにして席に戻ってきました。みんなで楽しく食べながら、私が娘の皿にあった「チョコレートフォンデュ」を見て、「それどこにあった?」と聞くと、Yちゃんは、「私が連れて行ってあげる」と、その場所まで案内してくれました。作り方(串にパンのような物を差し、それをグルグル回る液体チョコレートに浸ける)もしっかりと教えてくれ、お陰で、甘辛両党の私が首尾よくそれを食べることが出来たのはよいのですが、今日は甘い物も自由に食べられると察知したYちゃん。しばらくすると一人で席を立って、自分のジュースをお代わりして来、さらにはまた席を立って、今度は5人分のチョコレートフォンデュを持って来てくれました。串を落とさないように慎重に持って来ながらも、やや得意そうな表情です。みんなで苦笑いしながら、ありがたく1本ずついただきました。
  食事が終わったところで、翌日仕事のある私と妻は横浜に帰ることに。娘一家は、その後も2日間、ドギーパークで催された「プリキュラショー」を見たり、フィールドセンターでクラフト教室に参加したり、河口湖畔で遊んだり、日帰り温泉に行ったりと、楽しく過ごしたようです。ちなみに、日帰り温泉では、風呂に入ると必ず泣くKくんが、やはり大泣きをしたそう。パパとママどちらが一緒に入ったか聞いていませんが、さぞ困ったことと思います。