夏の想ひ出②・・・「合同お誕生会」

  昨年8月に初めて開催した、孫3人の合同お誕生会を今年は目白にある椿山荘の中の木春堂で開きました。椿山荘は結婚式や、妻の母の喜寿の祝いの時など、何回か来たことはありますが、この木春堂は初めて。広い敷地の奥の方にあり、緑が一段と濃く、そばを流れている川は神田川とのこと。案内された個室は、かつて五島慶太氏が持っていたところとかで、大正ロマンの雰囲気が漂います。元々、椿山荘は明治の元勲、山県有朋の屋敷だったところを藤田興業が結婚式場等として開発したところだと聞いていましたが、それと東急の五島慶太氏の関係はよく分かりません。
 車で来て最初に着いた娘一家とともに、娘の夫のお母様と私たち夫婦が先に部屋に入って待つところに、息子一家が息子の奥さんのお母様も一緒に到着。待ちかねていたYちゃんが早速、Lちゃんに抱きつきます。Yちゃん5歳、Lちゃん2歳、Kくん1歳の合同お誕生会の始まりです。ここの料理は、石焼懐石と言って、肉・魚介類・野菜を富士山の溶岩石で焼き上げるもの。遠赤外線効果で食材がふっくらと仕上がり、肉などは余分な脂肪を溶岩が吸収するため、ヘルシーという説明でした。仲居さんが付ききりで焼いてくれます。Yちゃんはお子様懐石、Lちゃんはママ手作りのお弁当、Kくんはパパやママの懐石を適宜分けてもらうという形にしました。20畳ほどの畳の部屋で、テーブルの下は炬燵のように切ってあって足を伸ばせますので、Kくんが落っこちないようにだけ注意しておけばみんな楽チンです。
  子供3人は並んで食べていましたが、すぐにYちゃんとLちゃんが絡み合って騒ぎ始め、おまけにテーブルの回りを一緒に手をつないで歩き回ります。Lちゃんの前からや後ろから、Yちゃんがむんずと羽交い締めのように抱き上げて数歩歩いたりもしますが、Lちゃんは平気な顔。時々は自分から手を広げて、Yちゃんに抱っこしてもらっています。広い部屋ですが、床の間には高価そうな大きな壺が置いてあり、「壊したら弁償できそうにないわよ」という妻の言葉で、仲居さんに2人がぶつかりそうにないところにその壺を移してもらいました。走り回っては席に戻り少し食事をし、また走り回るという繰り返し。おまけにKくんが、2人が絡み合って移動したその場所に、高速ハイハイで合流しに行きますが、Kくんが到着した頃には2人は既にまた他の場所に移っているという有様です。行儀は悪いのですが、久し振りの従姉妹同士の交流で、他のお客さんと一緒の場所でもないし、大人はみんな、暗黙に許容して、大人同士の会話も弾みます。

  そのような賑やかさの中で、私が最もうれしかったのは、Lちゃんが、ふとしたように、「セミが鳴いている」と言ったこと。ガラス窓の外には鬱蒼とした庭園が広がる、とても静寂なところで、確かにガラス窓越しにセミの鳴き声が聞こえます。夏の盛り、3人の幼子を囲んで、彼らを愛してやまない大人がみんな揃ってお誕生会を開いている。この幸せを改めて感じさせてくれるセミの声でした。Lちゃんは、ママがプロの音楽家ということもあるのか、とても鋭くて優しい感性を持っているような気がします。
  クライマックスは、仲居さんがお誕生ケーキを持って来てくれたとき。去年はYちゃんとLちゃんそれぞれに用意しましたが、今年は大きめの1個にし、真ん中に3人の名前と年齢、「おたんじょうびおめでとう」の言葉を書いたチョコのプレートを付けたものにしました。ろうそくの火を消したのはYちゃん。その後、それぞれの子にお誕生日プレゼントを渡しましたが、パパママ2組に3人のおばあちゃんと1人のおじいちゃんがいますし、妻のアメリカの友人からも1ヶ月くらい前に3人分のプレゼントが届いていて、それを今日まで渡さないでいましたので、子供たちは一人で何個もプレゼントをもらうことになり、興奮状態です。Yちゃんは、以前から欲しかった、プリキュラの魔法の棒(?)ももらい、それを持って床の間に上がり、トーチのようにかざしています。
  散々賑やかに楽しんだ後は、床の間を背にして仲居さんに記念写真を撮ってもらい、外に出て庭園をみんなで散策して楽しみつつ、お開きとしました。Lちゃんの代わりに先ほどのプレゼントなど荷物を載せた大きなベビーカーを押しながら、ゆるい勾配のある坂や途中に数段ある階段を歩く息子が、「ここはあんまりバリアフリーじゃないんだよな」とつぶやいていましたが、その分、自然が豊かということでしょう。