夏の想ひ出③・・・「石割山ハイキング」

   8月下旬に、例の学生時代の友人たちと、山中湖近くの石割山にハイキングに行ってきました。ゴルフばかりではつまらないと、8人組のうち、健脚?で時間の取れる4人(うち、関西組が2人)で一昨年から始めた、おじ(い)さんハイキングです。一昨年は会津檜枝岐温泉に2泊して秋の尾瀬を堪能しましたが、昨年は河口湖の私の小屋に泊まって、三ツ峠山に登り、翌日は小屋の近くのクラブでゴルフ。今年もそのパターンで、石割山ハイキングの翌日はゴルフを楽しみました。
  というわけで、元気な4人組のはずなのですが、石割山の登山口にある駐車場に車を停めて登り始めたところ、10分も経たない頃から、みんな早々と大バテ状態となりました。というのは、登山道の始まりが石割神社の入り口ということになっており、神社までしばらくは石の階段が続くのですが、これがなんと400段以上もあり、おまけに足のテンポが合わない階段なのです。通常、階段は、蹴上げ(垂直面)が15センチ、踏み面(水平面)が30センチくらいが一番歩きやすいと言われています。実際、そのくらいだと左右の足で交互に一段ずつ上がれてテンポも良いのですが、ここの石段はすべて、踏み面が7、80センチくらいになっているので、2歩歩いては登りの繰り返しのため、左右の均衡が取れずに余計に疲れを感じます。その上、前の晩に大いに飲んで盛り上がり11時過ぎに就寝したのに、山は早朝発が常識と、朝5時に起床して来て若干寝不足です。車を降りてから準備体操もせずにいきなり登り始めたのも、よくなかったかもしれません。
  急ぐ旅じゃないからと早めの小休止を挟みながら登って、ようやく石段が終わると、普通の登山道に変わり、その辺りから身体も慣れてきて、あとは快調なペースになりました。まず現れたのが石割神社。2つに割れた巨岩が祀ってあり、ここで写真を撮ったりした後、また登り始めましたが、この山はここからが本番でした。岩や大きめの木の根が不定形に続いて、結構急峻で、まだかまだかと思いながら登っていると、急に人の声。そこが頂上でしたが、そこからの見晴らしが素晴らしかったことがいまだに忘れられません。

  昨年は、富士山を撮るカメラマンが多く登るという三ツ峠山に、私も1眼レフカメラを担いでやっとの思いで登ったところが、遠くまで霞んでいてまったく富士山は見えず。ところが、今回の石割山は標高1,413メートルと、三ツ峠山(1,785メートル)よりも低い山なのに、湖越しに富士山が、裾の裾まで長々とすべて見えるのです。時間が早かったので、雲もまだ上がっておらず、山頂もくっきりと見えます。ここから見えた富士山の割合が10割とすると、私たちが東京や横浜から見る富士山は山頂から2割程度しか見えておらず、河口湖や山中湖の湖畔辺りからでも5割も見えていなかったのではないかと思いました。見事な円錐状の独立峰の富士山は、その長々しい裾野も含めて眺めてこそ本当の美しさが分かることを、初めて知らされました。
  4人とも少しく興奮して、何枚も記念写真を撮り、腰を下ろして眺めてから、心を残しつつ下山の途へ。登りの時と違う道を通るのですが、これが黄色い山砂の急斜面の連続。尻餅をつきそうで、途中から張られていた鹿除けの金網の針金にすがったりもしながら、慎重に進みます。やがてそのような道も終わって快適な山道になったのですが、ここで椿事が発生してしまいました。たった4人のグループだし、初心者用の低山なのに、リーダーとして最後尾を歩いていたI氏が突然いなくなったのです。
  若いときから山登りが趣味で経験も体力も一番あるI氏が、登りではリーダーとして先頭を受け持っていたのですが、体力に任せて歩きが早く後続が追いつくのに疲れるので、私の発案で、下りは私が先頭を歩き、I氏が最後尾を歩くことにしたのでした。ところが、大分下ったところに最初の駐車場方面に真横に行く分岐を示す標識があったので、私がそこを曲がり、S氏とW氏も続いて曲がったのですが、しばらくしてふと気がつくと、最後尾だったI氏が来ていません。写真でも撮りながら来ていたのか、I氏は前をよく見ておらず、分岐の標識にも気がつかなかったのか、そのまま真っ直ぐ麓に降りる道を行ってしまったと、その時はみんなでそう思いました。重要な分岐では全員が揃うのを待つという、グループ登山の鉄則を守らなかった私の責任です。
  車の中に携帯電話を忘れてきた私に代わり、S氏がI氏の携帯に電話しても通じません。で、どうせ麓まで行って待っていてくれれば会えると割り切れば良かったのですが、そこは友情厚い面々なので、分岐を曲がった3人の中では一番後に来たW氏が分岐に一番近かったので、そこに戻り、麓への真っ直ぐの道を行ってI氏を追いかけ、みんなと一緒になるように伝えにいくことになりました。ところが、当のI氏は、真っ直ぐに麓へと降りていたものの、なんと、駐車場への分岐を示す2番目の標識にすぐに出会って、そこを曲がり、駐車場へと向かっていたのでした。というわけで、結論を急ぐと、なんと、後を追ったW氏が一人だけで麓へと歩いて行ったのでした。
  私とS氏はほどなく駐車場でI氏と再会。びっくりしながらもともに車に乗り、麓で待つ気の毒なW氏の元へと向かい、そこでやっと4人がまた揃いました。いろいろと反省点はあるものの、まずは安堵して、みんなで麓の名物温泉の石割の湯に行き、疲れた足腰を露天風呂に入って揉んだりほぐしたり、畳の間でマッタリとくつろいだり。さすがにそこで食事をする気にはなれなかったので、山中湖方面に行って、美味しい10割蕎麦を食べてから小屋に戻って少しだけ午睡。すっかり元気回復してから河口湖に出て夕方まで過ごし、昨年も行ったイタリアンの店で夕食をしてから小屋に戻ってまた飲み直ししながら、談論風発をしたのでした。ちなみに、そのとき、元大新聞記者のS氏に聞いた野田首相の評価は、「良いも悪いも、民主党で多少でもましなのは野田さん以外にいないんじゃないの」とのご託宣でした。