お受験

  来春小学校に上がるYちゃんについて、娘夫婦は、国立の教育大学の附属小学校に進ませたいと、今年の5月頃から、いわゆるお受験塾にYちゃんを通わせていました。そして、このたびその受験結果が出ましたが、10倍以上の志願者があり抽選も併用される同小学校には不合格。但し、同小学校の受験準備も兼ねてその前に受けさせた私立のT学園小学校には合格でした。 
  そして、娘夫婦が出した結論は、やはりYちゃんは近所の公立小学校に通わせるようにしようということでした。この結論を一番喜んでいるのは、実は私です。何といっても、公立小学校は、娘夫婦の家のある住宅地の隣にあり、徒歩3分です。その一方、教育大の附属小学校もT学園小学校も、受験を認められた通学区域内にあるとはいえ、電車に乗って行く必要があります。小さな子が通勤の大人に混じってラッシュの電車に乗る問題。併せて、両方の駅それぞれに15分ほど歩く間の事故等の危険もあります。
  娘は、自然豊かな環境や授業カリキュラム、先生たちの素晴らしさなどから、せっかく受かったT学園小学校に通わせることにもこだわっていましたが、この学校は、特に女子の場合、お嬢様学校的で大学への進学時にやや難があるのではないかというのが娘の夫の懸念だったようです。この学校に詳しい私の友人にも聞きましたが、同じような見解でした。
 
  子どもの教育方針について決めるのはあくまで両親であり、私の意見が求められている訳でもないのですが、私は、少なくとも小学校は、地域の公立小学校に通うのがベストだと思っています。その理由は、①まず、通学の安全。危険の判断も体力も十分でない子どもを現在の交通事情のもとにさらすのは可哀想です、②子ども時代に「人間はみな平等」の意識をしっかり植え付ける必要。選ばれた子ども達だけの国立や私立の小学校に行くよりも、近所の子ども達と一緒に地域の公立小学校に行くほうが、友だちの幅も社会を見る目も大きく広がり、人間的な成長が大きいと思います。
  肝心の教育の質の点ですが、国立や私立の先生の質?は高いかもしれないし、クラス担当が6年間持ち上がりなどの特長もあるようです。しかし、昔からそうであったように、公立の小学校にも教育熱心な先生はたくさんいますし、少子化の進む中、公立学校の先生もかつて「でも、しか先生」もいるように言われていた時代とは異なり採用試験も難しくなっていて、全体の質は上がっているはずです。また、現在はクラスの小規模化等も進んでいて、教育内容そのものの質も上がっているのではないかと思われます。
  何より、子どもの教育をすべて学校任せにするのではなく、特に義務教育の間くらいは家庭における教育も大変重要なことを考えると、近所の公立小学校に時間的にも経済的にも余裕をもって通わせ、学校教育プラスアルファの部分に力を入れるほうが得策ともいえます。家族一緒でのさまざまな体験や、文化、芸術、スポーツ面の習い事、ボーイスカウトなどの活動、中高一貫校に向けた受験準備等々、通学以外の時間がとても貴重となります。
  同じ幼稚園の友だちや、違う幼稚園に通っていた、向かいの家の子とも一緒に通えるようになるため、両親の期待とは別に、「○小に行きたい!」と、近所の公立小学校の名前を呼んでいたYちゃん。本当に良かったね!