負うた子に教えられ・・・

  姉のYちゃんや従姉のLちゃんの言葉の豊富さと内容の面白さに比べ、男の子であり、一番年下であるKくんには、これまで言葉の関係であまり特筆すべきことはありませんでした。しかし最近、結構しっかりしている、あるいは男の子らしいと感じる発言があったので記録しました。いずれも5月連休の頃です。
  一つは、我が家に遊びに来たKくんたちと夕食のテーブルを囲んだときのこと。私の斜め前で子ども用の椅子に座っていたKくんが、私のほうをにらみ、「おじいちゃんお行儀が悪いよ」と言ったのです。普段はあまりしないのですが、久しぶりに孫が遊びに来てうれしかった私は、つい気持ちが緩んで、椅子にあぐらをかいて座っていたのでした。確かにお行儀が悪い。すぐにあぐらを解いて、きちんと椅子にかけ直したのはいうまでもありません。
  4月から正式に保育園に通い始めたKくんは、保育士さんたちの指導の効果もあってか、とてもお行儀がよく、子ども用椅子に背筋を伸ばしてきちんと座り、食事の前後には「いただきまっす」とか「おごっつおさまでちた」(原音のママ)と大きな声で言います。ついでに、子どもながら椎茸やタケノコの煮込んだものが好きでお代わりを要求するのも面白いところです。
  もう一つは、パパおばあちゃんと我々も招かれて、Kくんの家でKくんの3歳のお誕生会が開かれたときのこと。3本のろうそくを立てたお誕生ケーキを前にしてパパや私がカメラを構えて写そうとしたとき、両おばあちゃんが「Kちゃん笑って!」「笑って!」と何度も声をかけていたところ、最初はにこにこと笑っていたKくんが、突然、「笑ってるよっ!」と怒り出したのでした。確かに、愛想笑いの強要はよくない。最初は自然に、そして次にはサービスで笑い顔をしていたKくんも、しつこく言われて「いい加減にしてよ!」という気持ちになったようです。
  私が生まれ育った九州では、子どもでも、あまりペラペラおしゃべりをしない、むしろ寡黙なくらいのほうが男の子らしいと思われていました。しかし、さすが現代はそうではなく、男の子も女の子も、しっかりと自己主張もできなくてはいけない時代になっています。その点からすると、お姉ちゃんたちほどではなくともそこそこおしゃべりもし、かつ、3歳になるかならないかの時に、祖父や祖母に注意や抗議ができたKくんは頼もしい限りです。
 「負うた子に教えられて浅瀬を渡る」という格言がありますが、3歳児といえども大人に何かを教えることができます。また、大人の意のままの存在であることに我慢できないときもあることがよく分かりました。3歳児軽んずべからず。Kくんとしっかり向き合っていきたいと思います。