科学の力

  科学音痴の私が最近、これは明らかに科学の力だと感心したことがあります。モバイルルーターを買ったので、通勤電車内など外出先でもiPadインターネットラジオなどを聴くようになったのですが、その際の、カバンの中に入れたiPadと自分の両耳を繋ぐイヤホンの処理にやや困っていました。
  イヤホンのコードが結構長くて重さを感じたり、カバンを持つ手を替えたり、カバンを電車の網棚に上げようとしてコードに引っ張っられたり、何より、蒸し暑いこの時期、コードに引っ張られたりするたびに、ホッペタや首筋にコードがベタッと触る感触がイヤなものでした。
  と、このような愚痴を家でこぼしていたら、珍しく妻から、「ワイヤレスイヤホンにすればいいじゃない。若い人はみんな長ったらしいイヤホンなんてしてないわよ」とのアドバイス。「そうか、そのような方法もあるか」と、早速翌日、帰宅途中に家電の量販店に寄りました。Bluetooth機能を使うものなので、iPadにも私の携帯電話にも使えるのですが、音楽用や通話用などたくさん売っていて、値段もピンキリ。どれを選べばよいか迷います。
  そこで、店員に「お薦め」を聞いたところ、ソニーの高音質で、ノイズキャンセラーが付いたMDR-EX31BNなる製品を案内されました。ただ、この製品は売価が1万円ほどで、安いのでは2千円台から、主流は5千円くらいの製品の中では約2倍もします。「ワイヤレスで聞こえさえすればいいんだから」と、私の視線がその製品の下の段に並べられていた5千円くらいのものをさ迷っていたところ、店員は、「そのクラスのはノイズキャンセラーが付いていません」とのこと。この機能がどの程度の効果があるのかは分かりませんが、店員がこの機能付きをそれほど薦めるのならば、それが付かない安物を買って後で後悔するよりはよいかと、薦められたとおりの製品にしました。
  で、これが大正解。家に帰り、説明書のとおりにセットして音楽を入れたとたん、今まで有線のイヤホンで聴いていたのとは明らかに違う、澄んだ豊かな音が脳天いっぱいに広がります。さらに驚いたのが、翌日、路上や電車の中でラジオを聴くと、家の中で聴いたときと同じように澄んだ豊かな音が広がる一方、イヤホンのスイッチを切ると、とたんに車や電車の騒音が一斉に耳に入ってくるのです。スイッチを入れると静寂になり、切ると騒音が入る。面白くて、スイッチを切ったり入れたりしていました。
 
※新三種の神器iPad、モバイル・ルーター、ワイヤレス・イヤホン)
  メーカーのホームページによれば、「ヘッドホンに内蔵されたマイクで拾った騒音をデジタル化して、DNC(デジタルノイズキャンセリング)ソフトウェアエンジンにおいてその騒音を打ち消す効果のある逆位相の音を発生させます。音楽信号はデジタルイコライザーで高音質化。従来のアナログノイズキャンセリング方式に比べて、より静かな環境での音楽再生が可能です」とのことで、騒音カット率は98%だそうです。原理についてはやはりよく分かりませんが、効果については実体感しました。
  実は店員は、「やはり有線で直接繋ぐほうが、ワイヤレスよりも音は良いんですけどね」とも言っていましたが、少なくとも私には、これまで持っていたどの有線のイヤホンよりも、この製品のほうが高音質です。
  小さな本体をワイシャツの胸ポケットに挟んで使っていますが、ボリュームコントロールも選局(選曲)も本体でできるし、そこから両耳までのコードは短くて軽いので、装着感が少なく、本当に快適です。まだ実地には使っていませんが、携帯電話についても、受発信と音楽聴取のテストをしてOKでした。
  このような製品はとっくにあり、私がこれまで知らなかっただけのようですが、日常生活上の小さなところにも科学や技術の発達があり、その恩恵を受けることができるのだと、ややうれしくなった次第です。電機各社の中でソニーだけが大きな赤字を出して苦戦しているようですが、断然、ソニーを応援したいとも思いました。