初めての小説

  3週間ほど前、Yちゃんとフェイスタイム(無料のテレビ電話アプリ)で話をしていたら、「Yはいま小説を書いているの。もう10頁も書いたよ」と、手書きの紙を見せながら、突然の報告がありました。「すごい、すごい。どんなお話?」と聞いたら、「妖精のお話」とのこと。手書きの挿し絵も入っていました。「できあがったら、ぜひおじいちゃんにも読ませてちょうだい」と頼んだら、「いいよ。もうすぐできあがるから、今度横浜に行くときに持って行くね」と大張り切りです。ところが、続いて、「おじいちゃんも小説書いたことある?」との質問に、「ないけど、Yちゃんみたいに書いてみようかな」とうっかり言ったのが運の尽き。早速、Yちゃんから「今度見せ合いっこしよう!」との提案があり、私も小説を書くことを約束する羽目になりました。
  それにしても、小学1年生が、「童話」とか「お話」とかではなく、「小説」という言い方をしたのが興味深かったので、後で娘にそっと聞くと、家族4人で観た「アナと雪の女王」という映画の元となった小説が、「アナと雪の女王 (ディズニーアニメ小説版) 」と銘打って出ているのだそうです。それを買ってあげたところ、Yちゃんは夢中で読み上げ、ついでに、自分もこのような「小説」を書いてみたいという気になったとのこと。そして、つい先日のYちゃんの電話では、小説の題は「ようせいの よる(妖精の夜)」に決まったそうで、どんな内容か楽しみです。
  ところで、想定外でうれしかったのですが、Yちゃんの小学校(今どきの公立小学校全体?)では、子どもたちに読書をとても奨励しているようで、Yちゃんも読書ノートというのを書いていて、入学以来、図書館で借りたりして、既に20冊以上も本を読んだそうです。最近では「ファーブル昆虫記」や「ヘレンケラー」を読んだそうで、「ヘレンケラーって、とてもすごい人だよ」「サリバン先生のお陰だよ」などと感想を述べていました。一番素直で、知識も感動もどんどん吸収する年齢のこの時期に、スマホやテレビにかじりつく大人とは全然異なる時間を過ごさせることは、本当に大切なことだと考えます。
  Yちゃんがこのまま、本好きの感受性豊かな女の子に育っていってもらいたいなと、心から願ったことでした。そのためにも、私も「小説」を書くという約束を守らなければならず、横浜に遊びに来る日が近づいてきたため、先週末に、生まれて初めて小説(というよりも、「童話」ないし「作り話」)を書き上げました。題して、「ひらりちゃんのぼうけん」。チョウチョのひらりちゃんが、弟と一緒にお空の散歩に出たところ、昆虫採集中の人間の子どもたちに捕まりそうになったが、ガのお兄さんに助けてもらったという話です。
  きれいな羽根をしているために人間に捕まることの多い蝶と、夜行性で地味な色をしているために人間に嫌われる蛾との相違点や類似点を挙げ(このあたり、インターネットで情報収集)ながら、でも、蝶も蛾もみんな仲間だよ。人間もそれぞれいろんな違いはあるけれど、みんな同じ仲間。仲良くしなければならないよという、やや道徳っぽい内容で、果たしてYちゃんが喜んでくれるかどうか、自信がありません。これから、下手な挿絵を手書きで加える予定です。