同窓会ラッシュ

  歳をとると人恋しくなるようで、仕事や趣味つながりでできた昔の仲間と、同窓会と称して集まる機会が、7月に入ってからの毎週末に続いています。
  トップバッターは、元の職場仲間5人がSさんのお宅に集まり、Sさんが丹精している盆栽を見ながら、Sさんのもう一つの趣味の陶芸で焼いた皿やぐい飲み等を使って飲みかつ食う、大宴会を催すというもの。Sさんの趣味というか道楽は半端なものではなく、盆栽は母上が独り住まいをしておられる母屋の庭と、その隣にあるSさんの家の庭と合わせて、約50鉢もありました。中には直径1メートル近い松の大作もありますが、松や楓、ハゼの木などの枝が針金で屈曲させられて形良く整えられ、緑の葉っぱは密で、これもよく刈り込まれています。素人の私にも銘品だと思われるものばかりで、1鉢○万円として、総額何百万するんだろうなどと、お宝鑑定的な気分になりました。
  陶芸も本格的で、真ん中にろくろを据えた、作業・乾燥室があり、屋外には灯油で焼く大きな釜がありました。家庭用の陶芸釜は電気釜が主流かと思っていましたのでSさんに聞くと、「電気のは熱で焼き、灯油のは炎で焼く」ということで、仕上がりは断然、灯油や薪のが良いようです。備前焼風の大皿や小皿、陶製のビールジョッキやぐい飲み等の作品がたくさんあり、これらを使って久しぶりの同窓会の宴は大いに盛り上がりました。おまけに、これら焼き物をお土産にもいただいてきましたが、我が家には、以前からときどきSさんにいただいていた作品がいくつかあります。盆栽は近年、欧米人にも人気があるというし、焼き物も高尚な趣味で、Sさんは現役時代からこの二つの趣味を手がけていましたが、退職後にますます磨きがかかっている具合。趣味もここまで徹底すれば見事なものです。 
  次の週末は、3年くらい前まで私も入っていたオートバイツーリングクラブの仲間が3人、「久しぶりに一緒に走りませんか」と声をかけてきてくれたので、みんなで河口湖の私のボロ小屋に1泊するツーリングを決行したものです。私は、体力的にリッターバイクがきつくなり、小さな400CCバイクに乗り換えたのを機に、皆さんに迷惑をかけないようクラブを退会したのですが、私よりも2、3歳年下の皆さんは、いま現在もBMW等の大型オートバイに乗っています。しかし、排気量の大小はなんのその、私の走りに合わせてくれて梅雨明け前で土砂降りの東名高速道路東富士五湖道路等を無事に走り抜けて、湖の近くのスーパーで食材等を仕入れてから小屋に到着。高齢者ライダー4人で夕方から深夜まで、室内で肉や野菜をたくさん焼いて、大いに飲み、かつ話が弾みました。
  高齢者とはいっても、オートバイ道楽(オートバイの場合は、「趣味」ではなく「道楽」と言ったほうがピッタリ)をなかなか止めきれない人ばかりですので、元気はいっぱい。仕事やボランティアの形で、それぞれ社会との接点を今も持ち続けていますので、政治、経済等にも皆さん大変造詣が深く、お陰で私も、大いに教えられ、刺激を受けることばかりでした。あまりにも楽しく、誰いうともなく、この会を「徘徊クラブ」と名付けて、年4回ほど定期的に開催しましょうという話になり、次回は、Kさんの茨城の別荘(Kさん経営の会社の保養施設)を利用してのツーリングが決まりました。 
  その次の集まりは、私がずっと以前に入っていた、「デジタルカメラクラブ」の有志5人の同窓会。この中の紅一点のFさんが所属する「野鳥を撮る会」の写真展を鑑賞に、久しぶりに集まりました。このFさんは多才な方で、陶芸や料理も一流ですが、持ち前の芸術性がデジカメ写真にも発揮され、4年前には、某大新聞社主催の「いつまでも守り続けたい日本の自然」写真コンテストに出した、青森県奥入瀬渓谷の野生のカモシカを撮った写真が最優秀賞を獲得。その他、様々な写真展で入賞を続けています。この日の野鳥の写真も対象の鳥の希少さといい、撮るタイミングや構図等の素晴らしさといい、とても私などには撮れない作品です。
   しかし、一緒に集まった他の男性も、Dさんは仕事の合間を縫って全国各地で風景写真を撮ってプロはだしですし、Sさんは、今年の全日本山岳写真展に出した剱岳の風景写真が入賞し、9月に展覧会が開かれるとのこと。一緒にデジカメ教室で学んだのに、皆さんと私にはこの格差が生じたわけで、野鳥写真展の鑑賞の後の食事の席では、「継続は力」との言葉が出ましたが、私の場合、継続しても芸術的センスがないので、やはりダメだったと思っています。しかし、周囲にこのような才能に恵まれた人がいると、このように集まっておしゃべりをし、大いに刺激を受けるわけで、その点は幸せと思いました。
   仕事や趣味絡みの同窓会はこの後も、元職場の同僚女性Saさんの所属する合唱団の、文京シビックホールでの定期公演会、元職場の後輩のH君が席亭を務める落語会(千葉県内で、地域寄席として、10年間、50回以上も開催され、二つ目から真打ちまでの多くの落語家や、講釈師が出演してくれています)、大学時代の友人4人組とのハイキングとゴルフの会等と続きます。今年の夏は、私にとって、懐旧と刺激、希望の季節となりました。