地元チーム

  プロ野球にせよサッカーにせよ、一般的には、地元のチームを応援するものですが、私は、サッカーは、日本チームの試合には関心はあっても、「横浜Fマリノス」も含めJリーグの試合はTVで観ることもありません。ので、一度行ってみたい気はするのですが、地元の日産スタジアムに行ったこともありません。
  ただ、プロ野球については、昔は西鉄ライオンズ、大人になって以降は読売ジャイアンツをひたすら応援してきました。これは、地方出身者でも東京に住んだり、東京の職場に通ったりすると自然とこうなるもので、おまけに巨人は強いので、巨人ファンだと、他のチームを応援している場合よりも精神的な安定が得やすい、ということもあると思います。結婚して横浜に住んでからも、子どもを連れて後楽園球場に行ったり、近年は夫婦で東京ドームに出かけたりもしています。 
  地元の横浜大洋ホエールズは、巨人戦のチケットが東京よりも買いやすかったので、横浜スタジアムのチケットを買って3塁側で観るときに、少し関心を持つ程度でした。それでも、権藤監督や佐々木主浩投手などがいた当時には強いときもあったので、巨人に次ぐ2番手のひいきチームではありました。ただ、その後身売りをしてチーム名が変わり、しかも最下位が指定席の時代が長く続いているので、近年は関心を持つことすら全然ありませんでした。
  ところが先日、勤務先は私と同じ東京でしたが、横浜生まれの横浜育ち。しかも親代々住み続けている家は横浜スタジアムにほど近いというIさんに、「横浜DeNA×巨人戦」観戦の招待を受け、一緒にハマスタ横浜スタジアムをこう称するそうです)に行って以来、私の意識に変化が起きつつあります。
  実はこの日は、最近好調(とはいってもまだビリから2番目)のDeNAが、巨人戦3連戦3連勝を賭けての3試合目で、その勢いのまま10対1と巨人に大勝したのでした。私に言わせれば、DeNAが強いというよりも、助っ人外人選手や菅野投手をケガで欠き、4番の阿部慎之助選手も不調といった巨人が弱すぎたという試合でしたが、とにかく毎回のように得点を重ねるDeNAチームに、1塁側のDeNAファンは歓喜の渦。何度も万歳三唱が続きました。
  Iさんと一緒なので、当然、1塁側での観戦。オレンジ色のジャイアンツタオルを首に掛けていた私はだんだん居心地が悪くなり、妻に頼まれて試合前に買っていたブルーのDeNA応援タオルにそっと掛け替えて、青いベイスターズの帽子をかぶったIさんとともに、いつの間にかDeNAを応援していました。Iさんによれば、巨人戦でのこのような快勝は10年に一度もあるかどうかということ。1塁側は、まさに盆と正月が一緒に来たような騒ぎでした。

  この日投げたのは三浦大輔投手。「ハマの番長」といわれる、横浜大洋時代からの選手で、さすがにこの選手は私もよく知っています。Iさんの解説では、三浦選手はもう40歳。最近あまり調子は良くないので、もしこの日にボカスカ打たれて負ければ引退表明もあったかもしれないとのこと。それがこの快勝ですから、私も本当に良かったと思いました。石川や筒香など、若手で目立つ活躍の選手もいて、すぐに覚えました。
またこの日、ハマスタで感じたのは、ファンサービスが徹底していることです。東京ドームよりも、きめ細かいサービスが多いように感じました。私の近くのシートには子ども連れの家族もたくさんいましたが、試合前に子どもたちをグランドに入れて投げさせたり守らせたり、試合中はマスコットがたびたび登場したり、ラッキーセブンにはみんなで青い風船を飛ばしたりなど、子どもでも十分楽しめる工夫がたくさんあります。
 なにより、この球場は屋根もないフルオープン型なので、春や秋に季節を感じながらのデイゲーム観戦も味わいがあるのですが、港にも近いので、真夏、ビルの向こうに日が沈んだ後、涼しい浜風を受けながらのナイター観戦は本当に気持ちが良いものです。この日も、Iさんとともに、シウマイ弁当などを肴に、女子高生?アルバイトの売りに来るビールを何杯も飲みながら観戦しましたが、極楽気分でした。
 会社人間となって、自分の住む地域にあまり根付かない生活を送ってきた男性は、仕事をリタイアした後、地域になじめず、寂しい思いをするそうです。私も、これまでの「横浜都民」的な暮らしをそろそろ切り替えて、地域密着型で生きる必要があるかもしれない。その一環として、長年の東京読売巨人軍のファンを卒業して、横浜大洋DeNAという会社はよく知らないので、今でもついつい「大洋」と言ってしまいます)ファンに転向してもよいかなと、真剣に考えた次第です。
 妻や3人の孫を連れてときどきハマスタに来て、多くの仲間とともにブルーのタオルを振りまくる。東京生まれで東京育ちの妻も、もう横浜での生活のほうが長くなったのですから、そうしたがっているかもしれません。ちなみに、福岡県に住む私の姉夫婦は、福岡ソフトバンクの熱烈なファンで、福岡市内のヤフードームにときどき行っているようです。(私は、西鉄ライオンズの仇敵であった”南海”ホークスの名前を継ぐこのチームが好きではなく、むしろ、西武ライオンズのほうが気になるのですが・・・)
 そして、プロ野球のひいきチームの横浜転向に続いて、サッカーJリーグの横浜Fマリノスの試合を日産スタジアムで初観戦するというように、地元チームの応援になじんでいけば、地域に密着した生活の幅が広がり、老後の楽しみがさらに増えるかもしれません。