第3作

  孫のYちゃんの創作意欲が相変わらず盛んです。先日、いっしょに相撲を見に行った日に「また書いたの」といって渡された、「きんぱつのアリス」なるYちゃんの小説を1日がかりで読み終わりました。5月の第1作「ようせいのよる」、6月の第2作「まゆちゃんのせいかつ」に続く第3作です。
  子どもが書いたものを読むのになぜ1日がかりにもなるかというと、A4版の用紙10枚ほどに字がびっしりと詰まっており、ひらがなが多く、判読し難い字も結構あるため、そのまま読むのではなく、いったん、すべての文章をパソコンに入力しているからです。その際、文章のところどころに挿入されているYちゃん手書きの挿絵は、スキャナで読み込み、JPEGファイルにして文中に挿入。できあがりは2部、簡単な冊子にして1部をYちゃんに送っています。
 ※パソコンで作った冊子
  前2作が横書きであったのに比べ、今回は縦書きでしたが、これがとんでもないスタイル。日本語の縦書きは右から左に行が進むのが決まりですが、Yちゃんのは左から右に行が進みます。これを読むのは慣れればなんということはないのですが、私のパソコン版はもちろん、右から左に行が進む本来の書き方にして、Yちゃんに日本語の書き方の約束について注意を喚起しました。
  しかし書き方について、前例にとらわれない子どもの発想も面白いと思いました。日本語を横書きする場合には字を右から左に書いていきますので、子どもが縦書きの場合もそのように考えるのは無理ないところかも知れませんし、前述のように、慣れれば特に違和感なく読めます。また、日本語を縦書きで右から左の行に書き進めるとき、鉛筆やペンを持った右手の平の下の方が書き跡に触れて汚れる不合理はみんなが経験しているところです。
  昔は日本語を横書きにする場合、右側から左側にと字を書いていたのを、戦後?は左側から右側にと変更して定着したのですから、縦書きの場合の右、左どちらから進めるかも、単なる決め事かも知れません。私はYちゃんの書き方に1票なんですが・・・
  縦書きの右、左についての話が長くなりましたが、第3作の話の内容はなかなかに面白いものでした。まず、主人公アリスが両親がいないため祖父母と暮らしており、アリスと双子で生まれた兄は戦場にいる設定となっています。そして、兄に会いたくて戦場に行ったアリスが兄から「女の子の来るところではない」と追い返されたり、おばあさんから、猛獣がいるので絶対に通ってはいけない道を言い渡されてそれを守っていることが書かれています。
  この辺り、外国童話の「ふしぎな国のアリス」と関係あるのかどうか、読んでいないので分かりませんが、アリスが通っている学校でのエピソードがたくさん出て来る辺りはYちゃんの小学校生活を想像させてとても面白いものでした。
  いわく、給食当番が上手くできなかったこと、ドッジボールでアリスのチームが優勝したこと、かけっこでいつもビリなのが3番になったこと、ウソをついた男の子ケイトを女子連合が学級新聞で取り上げ、ケイトが反省したので今度は褒める記事を書いてやったこと、朝、中休みと続けて友達とケンカをしたアリスが、昼休みにはケンカをしなかったこと、UNOゲームでおじいさんに負けたこと、運動会のダンスリーダーに選ばれたことなどが書かれており、それぞれに喜怒哀楽の気持ちが付加してあります。
  まあ、虚実取り混ぜ、自由にいろいろと書かれていますが、主語と述語がしっかりとしていますし、「ちなみに」という言葉が入ったり、おばあさんとおじいさん(おじいさん、おばあさんではなく、いつもこの順番)の言葉には年長者らしい貫禄があるなど、小学校1年生としてはこれくらい書ければすごいというのがジジ馬鹿の感想です。
  Yちゃんのパパは理科系なので算数や理科を頑張らなければいけないのですが、どうもこの子は、本を読んだり書いたりすることの方が好きな模様。先日一緒に国技館に向かった際には、電車の中で「赤毛のアン」の文庫本を夢中で読んでいました。分からない漢字もあるでしょうが、全体としてのスジは追えるようです。
  このまま、感受性の豊かな子供時代を過ごしていってほしいと願っています。