新車購入

  昨年暮れに7年ぶりに車を買い替えました。それまでの車はホンダのフィットRS(普通のフィットよりも排気量がやや多く、スポーティ仕様)。その前に9年間乗っていたトヨタのナディアに比べてかなり小柄で狭い駐車場でも取り回しがしやすい一方、きびきびと加速性能が良く、高速道路で追い越し車線を走っても全然平気でした。ただ、この加速性能が災いして、昨年夏にスピード違反で白バイに捕まり反則金を支払う羽目に。また、さすが7年間も乗っているとあちこちに擦り傷がついたり、妻が取扱中に突然盗難防止のアラームが鳴り出すなど、老化が目立つようになってきました。ガソリン車なので燃費も全然よくありません。
  この先何年車に乗り続けられるかは分かりませんが、少なくとも年齢的にはまだ7、8年以上は乗れると仮定すると、このフィットはその途中で、少し前まであった「10年超の車は1年車検」という制度に該当する車になるわけで、ならばいっそここらで「人生で最後に購入する車」に買い替えようかと思うようになってきました。ここらの私の心を読んだのか、フィットの点検等で顔なじみのホンダディーラーのセールスマンがフィットハイブリッド車の猛烈な販売攻勢に。フィットは飽きたので、昔付き合いのあったトヨタのディーラーからアクアを買おうと検討していたのですが、このホンダ氏は再々訪れてきたり、電話を掛けてきたり。果てはディーラーの社長までが我が家に挨拶にやって来ました。
  それでも、どうしてもその気にならないので首をタテに振らずにやり過ごしていたところ、晩秋の頃、12月1日に新発売になる「グレイス」をぜひ検討してほしいと、自信満々に新たな攻勢を掛けてきました。そして、私は、街で見飽きているプリウスやアクア、フィットではない新車種のハイブリッド車であること、これも見飽きて乗り飽きたミニバン型車ではなく、昔懐かしいセダン型であること、フィットハイブリッド車のエンジン等をベースにしているが、車台等は独自に設計され、車室はゆったりとし、内装等はフィットと比べてかなり質感が高められていることなどから、この新車種に心を動かされてしまったのでした。
  実は、年に数回しか行かないゴルフですが、ゴルフ場に来る車の定番は高級セダンであり、フィットで行くたびにやや恥ずかしい思いをしていました。しかし、このグレイスなら、ファミリータイプではあってもセダンはセダンです。肝心のゴルフバッグも、後ろのトランクに3つは入ると、パンフレットに写真入りで紹介されています。その他、パンフレットやインターネットの紹介記事で徹底的にグレイスのことを調べるに従い、購入を前提に本格的に検討したいと思うようになった次第です。
  ホンダのセールスマンの強い勧めで、ついに12月中旬の土曜日、販売店まで試乗に行ってきました。一番の懸念は、車幅はフィットと同じものの、車長がフィットよりも50センチ近く長くなったことで、フィットの取り回しに慣れた妻がきちんとこのグレイスを取り回せるかどうかということでした。セールスマンを横に私が運転して我が家まで乗ってきて妻にも運転させたところ、なんとか近所を一周して来て、駐車場にも入れることが出来ました。いずれにしても、妻も以前はカローラやナディアなど、もっと大きな車を乗り回していたのですから、直にカンを取り戻してくれると思います。
  妻の「後はあなたの判断に任せる」という言葉を良いことに、「今日、契約をしていただければ年内に納車ができます」というセールスマンの言葉に乗って、試乗後、販売店に戻ったところであっさりと契約書にサイン。便利な機能がたくさん付いていて質感が最も高いEXというグレードを選び、車体の色は白系は平凡だし、好きな青色はラインナップにないので、赤(えんじ)としました。
 ホンダグレイス(ホンダのホームページから)
  納車後、正月を挟み、10日間で400キロ近く走行しましたが、結論から言えば、これまで買ったどの車よりも満足しています。気に入った点の第一は、まずデザインです。空気抵抗の少ない流線型で、トランクの後端上部がエッジを効かせてやや跳ね上がり、ルーフの後端中央には小さな三角形の「ヒレ」も付いていて、全体にシャープな印象です。横長の尾灯のデザインとも併せ、仕事の関係で知っている税理士さんにときどき乗せてもらうセダン型のBMW車とやや似ています。インテリアも含んだ重厚感はとてもBMW車に適うものではありませんが、何となく「庶民のBMW車」という気がしてきて、うれしくなったものです。
  次いで気に入った点は、ドアの開閉音や取っ手の作り、室内のデザインや作りの質感がフィットに比べ格段に上がったこと。実は、妻が「本革の臭いがきらい」と言うので断念したのですが、あと12万円出せば本革シートに変更できたところでした。ただ、本革ではないものの、シートもフィットに比べて厚さが増すなど上質になっており、運転席と助手席にはシートヒーターも付いています。
  3点目は、先進のハイブリット車らしいIT系というか、電装系の設備があれこれあること。ハイブリット車ならばどれもとっくに採用されているのでしょうが、キーを差し込まずスタートボタンを押して発進させる装置、力のいらないギアチェンジのレバー、キーレスで開閉を操作できるドア、前席にも後席にも用意されているUSB等の端子等、便利な設備がたくさんあります。特にうれしかったのは、携帯電話を車内でハンズフリーで操作できる機能。ナビ画面からワンタッチで自宅に電話を掛けて、ハンドルを握ったままで話をすることが出来ました。
 そして4点目は、やはり燃費の良さです。納車日にガソリンを満タンにしたら、航続距離の表示が1,000kmを超えていたのにビックリしました。これまでのフィットガソリン車の倍はあります。この燃費関係のデータについては運転席前のパネルに種々表示されるとともに、ホンダプレミアムクラブというのに登録したので、自宅のパソコンやiPadでもその日の走行距離や燃費を見ることが出来ます。ちなみに、現在私の運転による平均の燃費は、リッター22km位となっています。
  最後に走りの味わいですが、フィットよりも車長が長く、車重も200kg程度重くなっている分、今までと同じような走りのきびきび感はありませんが、それでも、どこを走っていても特に加速性能の不足を感じることはありません。そもそも、今までのフィットRSとこのグレイスでは走りのコンセプトとでもいうべきものが異なっており、前者はスポーティさを追求し、後者は乗り心地の良さを追求した走りとなっているような気がします。つまり、これまでは年甲斐もなく若い世代向きの車に乗っていて、やっと年相応の落ち着いた車に戻ったということかもしれません。
 グレイスのシートに座って、エコ運転のボタンを押してゆったりと走らせているときの落ち着いた気分は最高です。買い替えて良かった。