カナダからの小さなお客さん

先月、カナダから7歳になったばかりのAちゃんが我が家にやって来ました。青い目をした金髪の女の子で、西洋人形そのままの可愛らしさです。連れてきたのは、パパのNさん。Nさんは25年前、15歳の時に、横浜市がみなとみらい地区の完成を記念して開催した「国際こども平和ミュージカル」に出演のため、姉妹都市のカナダ・バンクーバー市の代表として来日し、我が家にホームステイしました。以来、すっかり日本好きとなり、9年後には横浜の市立中学校にYAET(横浜アシスタント・イングリッシュ・ティーチャー)として1年間勤務したのをメインに、何度か来日し、我が家に滞在してくれました。また、婚約者のJさんやNさんのご両親も来日したり、私の妻がカナダのご両親の家を訪問したりもしました。
いわば、私たち夫婦にとって、Nさんは息子のようであり、Aちゃんは孫のような存在ですが、Aちゃんに会うのは今回が初めてです。でも、羽田空港の国際線ロビーに現れたときからAちゃんはにこにこ顔で、我々にもすぐに打ち解けてくれました。以下は、4日間の京都観光旅行を挟んで13日間、日本に滞在したNさん、Aちゃん父娘の滞在記録です。
滞在2日目)あいにくの雨でしたが、父娘と私たち夫婦の4人で、Nさん想い出の地、みなとみらい地区を訪問。ランドマークタワーの展望室に上り、雨の日特典の喫茶サービスも楽しんでから、日清のカップヌードルミュージアムに行ってマイカップ作りを体験。Aちゃんは、カップの余白に絵を描いたり、スープや具を選びながら詰めてもらったりパッキングしてもらうのを、予想以上に喜んでくれました。帰りに高島屋に寄り、キティちゃんの雨傘を買ってもらって、Aちゃんは大満足でした。
3日目)父娘で鎌倉見学。Nさんは、初回15歳で訪問したときは鎌倉大仏様の前の土産屋で忍者の手裏剣等を買って喜んでいましたが、今回は保存、修理、清掃の工事が終わったばかりの大仏様をAちゃんに見せるのが目的。その他、江ノ電に乗ってあちこちに足を伸ばしたようです。
4日目)新幹線で京都観光に出発。私が新横浜駅まで送って行きましたが、YAETで勤務した市立中学校が長津田にあったため、横浜線にも乗ったことがあったのを思い出したらしく、感慨深げでした。
7日目)京都旅行から無事に帰って来ました。私が予約を取ってあげていたホテルを拠点に、あちこち精力的に観て歩いたようです。特に、今回来日の大きな目的の一つでもあった禅宗のお寺の訪問では、高僧のお一人が案内したりお茶を点ててくれたり、色紙に揮毫してくれたりして大喜び、大感激していました。色紙は、我が家の近くの画材店で額装して、大切に持ち帰りました。今回来日では、カナダの地元州で検察官をしている妻のJさんは仕事の都合で来られず、下の子(Aちゃんの妹)と留守番。州政府の職員をしているNさんだけが休暇を取ってAちゃんを連れてきたのですが、「(お寺など)自分が行きたいところをたくさん回ったが、Aがいやがらずどこにでも元気に付いてきてくれたのが良かった」とは、Nさんの弁です。
帰りの新幹線で、周りの日本人が教えてくれて、車窓から富士山を間近に見わられたのもうれしかったとのことです。
8日目)我が家で、NさんとAちゃんの歓迎パーティを開催しました。娘一家4人、妻の英語の教え子の女子高生2人、近所の子ども3人とその母親1人と、私たち夫婦を入れて全部で14人。うち子どもは、小3と小2が1人ずつ、小1がAちゃんを入れて3人、年少が1人の、計6人です。
 座卓を二つ並べて周りにみんなで座り、ホットプレートで焼きそばやお好み焼きを焼いて食べましたが、Aちゃんもみんなと一緒にしっかり食べてくれました。帰国子女や海外勤務経験者もいますので、大人や高校生は私を除いて全く屈託なく英語での会話が飛び交いますが、子どもたちは、昨夏のフィリッピン英語短期留学の経験を生かしたいと張り切っていたYちゃんとKくんも含め、まだまだその域ではありません。 
AちゃんとKくん
しかし驚いたことに、日本の子どもたちとAちゃんとの意思疎通には全く支障なし。プレゼント交換をしたり、ウエルカムプレートの付いたデコレーションケーキを仲良く分けあったり、本を見せ合ったりなどが、お互い自国語で喋りながらとても盛り上がっていました。食事の後は庭に出て一緒に縄跳びをしたり、はては我が家の隣の竹林に一緒に入っていって大騒ぎするなど、はしゃぎ合っていました。
パーティは、正午頃から始めて午後4時頃にお開きにしましたが、Yちゃんはそのまま我が家に泊まることとなり、女の子同士、夜は一緒に布団を並べて寝ました。
9日目)父娘とYちゃんを、我が家から歩いて20分ほどのところにある、ログハウスで出来た児童館まで、私が案内しました。入り口で入館名簿に名前と学年、入館時間を記入する必要があるのですが、Aちゃんは英語で上手に書くことが出来ました。大きな建物の中は、地下室があったり、天井近くにロフトがあったり、天井から大きなロープがぶら下がっていたりと、子どもたちが身体を使っていっぱい遊べるようになっていて、二人とも多くの子と一緒に走り回っていました。
帰りに家電量販店に寄ったところ、何やら抽選会をやっていて、外国人の父娘はやはり目立つのか、店員がにこにこ顔で接近してきて、無料だからと、Aちゃんにくじを引かせました。結果は、結構立派なボールペンとメモ用紙が当たり、ついでにYちゃんにも同じものをくれましたが、客寄せのイベントに利用されたような感じでした。
その日の夕、Yちゃんを娘の家に車で送りましたが、Aちゃんはいつまでも手を振っていました。
10日目)私が東京で会議があって夕方早く家に戻ったので、夕飯は外で食べることにし、4人で駅ビルの寿司屋に行きました。私が時々先輩や友人と飲みに行くところで、とても新鮮で美味しい寿司を食べさせてくれます。大人3人は握りのセットを頼み、Nさんはビール、私は焼酎のお湯割りも飲みましたが、問題はAちゃん。寿司は好きでカナダでもたまに食べるようですが、「お魚の寿司はダメで、アボガドの握りが食べたい」ということ。あいにくこの店にはアボガド巻きや握りがなく、店の人が勧めてくれたのがカッパ巻きでしたが、これが大正解。Aちゃんは一皿食べて、さらに一皿を頼みました。
お勘定の時、レジの人からAちゃんにプラスティックで出来た握り寿司の模型をプレゼント。Aちゃんが「妹にもお土産に持って行きたい」と言ったところ、もう1個くれました。
11日目)父娘だけで渋谷、原宿、皇居前に行ったそうです。帰宅してから、ハチ公像にまた会えたこと、スクランブル交差点を体験できたこと、原宿でAちゃんのお洋服やキティちゃんのバッグを買ったと見せてくれました。
12日目)この日から1泊2日で出張して私はいませんでしたが、父娘で浅草に行ったそうです。
13日目)最終日ですが、夜の便のため、昼間は私の妻も一緒に、もう一度鎌倉に行ったとのこと。夕方は、娘とYちゃん、Kくんがまた訪ねてくれて、父娘と最後の別れ。その後、妻が父娘を羽田空港まで送っていきました。
帰国後、Nさんが日本での想い出の写真を編集したアルバムが、Aちゃんが手書きで装飾した封筒に入って送られてきました。メールでもやりとりをしていますが、Aちゃんは「また日本に行きたい」と言っているとのこと。
我が家では、孫3人が遊びに来る度に居間の柱に背を当てさせてに身長を測り、柱に手書きで記録していますが、今回、Aちゃんも測定しました。何年後かまた来てくれた時にどのくらい身長が伸びているか、大いに楽しみです。