旧交⑤ 「蒼穹万里」

  高校の関東地区同窓会総会に出席しました。母校は福岡県立で、今年で創立100年を迎えたということ。記念の意味もあるからか、旧制中学校時代に卒業した大先輩から数年前に卒業した若者まで400名を越す参加者で賑わい、郷里からも市長や現在の校長などが来賓として出席しました。
  全期が集まる総会の他に、同期だけが集まる会も、それぞれ年に一回ほど開かれているのですが、私は昨秋の同期会と今回の総会とも10年振りくらいの出席というように、あまり熱心ではありませんでした。高校卒業と同時に父の転勤に伴って実家はその地を離れ、私は大学進学で上京してそのまま今日まで首都圏暮らしということで、郷里の高校とは何となく縁が薄れたように感じていました。おまけに、高校時代の親友が早世したこともあります。
  しかし、やはりこのような会に出席すると楽しいし、得るものは大だというのが実感です。田舎の高校ですし、その頃は学区制がしっかりしていましたから、普通の成績の子であれば、同期の3分の1くらいは小学校、中学校とも一緒だった人なので、会うと即座に大昔にタイムスリップして話が弾みます。淡い恋心を抱いていて当時は胸をときめかしていた女子とも、孫の話などで盛り上がります。
  日本の高度成長期に生きてきた我々ですので、社会に出てからの話を聞くと、結構、男性であればその人自身が、女性であれば夫に伴って、国内各地を転勤したり、海外生活を経験した人も多い。私はずっと首都圏だけに暮らしていましたので、それだけでも刺激があります。
  そして第一線を引いた後も、何らかの形で社会との関わりを今も持ちながら生活している人たちがほとんどです。関連企業や団体にまだ勤めている人、自分でNPOや会社を起こした人、政党の県支部の役員をやっている人、某省の事務次官を退職後、関連団体の役職を務めている人(この人が関東地区同窓会の会長)もいます。日本芸術院会員で著名な画家の人はもちろんまだ現役続行中ですが、趣味の絵画や茶道、囲碁などの世界でいろいろな団体の世話役などを務めている人も多い。
  この日、郷里に組織がある同窓会全体の会長(我々よりも先輩で、地元企業の社長)の挨拶では、郷里の市は少子高齢化と人口減少時代そのままに、市の人口が最盛期の半分くらいになったこと、そのため母校の入学定員も漸減して今年の新入生は200名であったことが紹介されました。
  とても残念で淋しいことですが、幸い同窓会組織は活発で、首都圏や全国に散らばったOB、OGは元気な人たちがたくさんいますので、今後とも郷里の母校を盛り上げていく気持ちはいっぱいに違いありません。
  今回ブログタイトルの「蒼穹万里」とは、母校の校歌の出だしの部分ですが、「蒼穹万里天翔る、図南の鵬に憧れて♪・・・」と続く雄大な歌詞です。母校で過ごした3年間はもちろん、その後の人生でも折に触れて口ずさんで元気をもらってきました。会の最後にみんなで大合唱しましたが、この校歌には、母校にも自分自身にも勇気と希望をもたらす何かがあります。