ジューンベリー

  5、6年前に植木屋さんに植えてもらった庭のジューンベリーの木の実が熟して、収穫の時期となりました。この木は、当初は2メートルに満たなかった若木でしたが、その後どんどん伸びて、今や4メートルを超えているため、収穫作業も大変です。
  昨年までは手の届く範囲を妻と一緒に摘む程度で、上部は鳥にあげるという大らかさでしたが、今年は時間的な余裕もできたため、1間高の脚立を持ってきて私が登り、天頂部から下まで徹底的に収穫してみようという作戦。赤い実が黒くなれば完全に熟して、手で触るとポロッと採れるのですが、まだ赤い実も混じっている状態のため、黒いのだけを選んで何日間かにわたって収穫しなければなりません。
  まずは数日前から2日間、脚立に登って枝を掻き分けながらもぎにもいで、合計3kgほど収穫しました。そして、収穫した実は、早速妻が丁寧に洗って砂糖と一緒に鍋で煮立ててジューンベリージャムが何瓶もできました。自家消費以外に、いずれこのジャムは妻の水泳仲間等にお裾分けされることになります。
 初日の収穫
  一連の作業を通して私は、ある頃(単純な私は、ヘルマンヘッセの「庭仕事の愉しみ」を読んで影響されたのでした)から計画的に、ごく狭い庭ではありますが実のなる木をいくつか植えてきて、正解だったと満足しています。収穫時期順に挙げると、6月初旬の梅(老木のため収量が段々減っています)とジューンベリー、真夏のブルーベリー、秋の柿、冬の柚、春の甘夏ミカンとグレープフルーツとほぼ切れ目なく続いて、それぞれの季節の彩りを感じさせてくれるとともに、我々夫婦のビタミン摂取や果物購入経費の節約など、実用性にも富んでいるからです。
  ただ今後、年を重ねる毎に収穫作業に困難が伴ってくることが懸念されます。高木でも高枝ハサミでもぎ取れる柿や甘夏ミカンはまだ良いのですが、ジューンベリーは直接手でもぎ取らなければならないので、木の上部の実を採るには、脚立の最上部に登ったりしなければならず、これがやや危険。実際今回、脚立におっかなびっくり登って収穫作業に励んだのですが、道行く人は、あのおじ(い)さん大丈夫かなと心配だったことと思います。
  とりあえず今年は、まだたくさん付いている残りの実を無事故で収穫することに努めるが、いずれは近所の人に開放し、自由に採っていってもらうようにしようと、妻と話したことでした。ヘルマンヘッセは、「人は成熟するにつれて若くなる」と言っていますが、我々の場合は、果樹を媒体として若い世代と交流し、若さをもらおうというわけです。