Kくんの保育園

  前回のブログに書いたように、週に1、2度、孫のKくんを保育園に迎えに行くようになりました。娘の家から徒歩3分くらいにあるこの認可保育所社会福祉法人立で、都内に数カ所、系列園があるようです。広い園庭を持ち、2階建ての園舎の1階には0〜2歳児の部屋と事務室等の管理部門があり、2階には3〜5歳児の部屋と地域交流スペース等があります。暗証番号を押して玄関ドアを開け、事務室の方に挨拶をして2階に行くと、500㎡ほどはありそうな大きな部屋に、数えたことはないのですが、年少から年長までの子どもたちが5、60人くらい、いくつかのテーブルに分かれて折り紙やお絵かき、ゲームなどをしながら過ごし、4、5名の保育士さんが一緒に遊んだり、見守ったりしています。
  大部屋入り口で部屋全体を見回しながらKくんを探すのですが、そこは祖父と孫の心が通い合うのか、たいてい1、2分くらいでKくんが私に気づいてくれます。その後、Kくんが友達と一緒のその遊びを終わらせ、帰りの支度を済ませて出てくるのを廊下で待つのですが、この時間が楽しい。たいてい、数名の年少児が、「誰を待っているの?」とか「Kくんのおじいちゃん?」とか言いながら寄ってきます。また、保育士さんが、Kくんのその日の様子をニコニコしながら伝えてくれます。様子は連絡帳にも書いてあります。

  この園で面白いのは、迎えに来たすべての保護者に対して、事務の人も保育士さんも一様に、「お帰りなさい」と挨拶をすることです。迎えに来る保護者は主には勤め帰りの母親なので、そのように言葉を掛けることを徹底しているのでしょうが、勤めておらず、しかも遠隔地から迎えに来た私には、なんだか場違いなところに来た感じを持たされて苦笑いしてしまいます。ただ、「お帰りなさい」という言葉には、この園を大きな家庭と捉えて、関係する者すべてが家族のようなつながりを持つという、疑似家庭的な意識を醸成する狙いがあるのかも知れません。
  私はひたすら、「こんにちわ」とか「お世話になります」と挨拶をするのですが、実際、この園には大変お世話になっています。姉のYちゃんと違って、どちらかというとややおとなしいKくんですが、いつ迎えに行ってもお友達と楽しそうに遊んでおり、昨年4月の入園以来、一日も遅刻、欠席なく元気に通っています。都心に通う娘の帰りの電車が事故で急に遅れたときに連絡を入れたら、時間が過ぎても待っていてくださったそうです。
  このように、保育園を初めて垣間見て、待機児童問題など、現在の我が国の子育て事情が少し分かるようになりました。