ホームステイ

  ある児童養護施設の子どもを我が家にホームステイさせることになりました。といっても、も少し先の週末のたった1泊2日だけですが、この運びとなった理由は、①養護施設には、乳児の時から施設で暮らし、一般家庭の生活を全然知らない子どももいるということ、②養護施設には、ときどき実の親の元で過ごす子どもや、夏休みなどに「フレンドホーム」という制度に登録しているボランティアの一般家庭で過ごす子どももいるが、すべての子どもがそうなってはいない、といったことを知ったからです。
  さらに私の個人的な思いとしては、①被虐待児童が増えているという、現在の養護施設の子どもたちに、施設の外にも、君たちのことを思っているおじさん、おばさんたちがたくさんいるんだよということを伝えたい、②孫3人を慈しんでいるだけの状況はあまりにも自己中心に過ぎるのではないか、子どもたちに対する思いをもう少し外にも広げるべきだ、といったことがあります。
  妻にも思いを伝えたところ、「協力する」ということでしたので、知り合いの養護施設施設長に、「もし私にもできるのなら、そのようなことが必要な子どもとの交流をしてみたいのだが」と相談したところ、「ぜひお願いしたい」とのこと。具体的なプロフィールは一切明らかにできませんが、そのような子どもとまずは施設の行事の際に会うことになり、先日行ってきました。

  子どもとの交流は孫たちとの経験で得意のはずのところ、やはりその子も私も初対面ですから、お互いやや固くなっていましたが、職員がその子によく説明をしていたらしく、「おじさんの家に遊びに来るかい?」と聞くと、「うん」との明るい返事。そこで、お互いに都合がつく日程を職員が調整して決めてくれることになりましたが、その子は週末といえども学校行事や施設の都合等があり、私たち夫婦の週末の日程も結構タイトなため、そう簡単には決まりません。
  おまけに、果たして年配の夫婦の家に連れて来ても、どのように過ごさせればその子が喜ぶのか、とにかく初体験なのでよく分からない面があります。正式な日程が決まるまでの間、「自分で言い出したこととはいえ、これは大変なことを引き受けたぞ」と、やや自信が揺らいだときもありました。
  しかし、私はフレンドホームの制度外のボランティアとして行うのですが、フレンドホームでの受け入れ等が思ったほど伸びていないのは、その気持ちはあっても「面倒だ」とか「自信がない」等の理由で断念する人たちも多いのではないか。そこを乗り越えないと子どもたちに多様な体験をさせることはできないと思い直し、とにかくやってみようと、ホームステイに来てくれる日を楽しみに待っているこの頃です。
  安全で楽しく過ごしてくれるよう、施設の職員と十分に連絡を取り合いながら準備を進めるつもりですが、今のところ、土曜日の午後に夫婦で車で迎えに行き、その日は一緒に家で夕飯を食べてお話をしたり、勉強を見てあげたりし、翌日曜日は、本人の希望も聞いて、鎌倉又は横浜みなとみらいに一緒に遊びに行って過ごし、夕飯までには施設に送っていくというような予定です。
  うまく打ち解けてくれ、信頼関係も築ければ、その後もときどき施設を訪問したり、ホームステイ等をさせて交流したい。叶うことなら、いずれは息子夫婦にバトンタッチをして、その子が大人になるまで見守っていってあげてくれればいいなと、気持ちは膨らんでいます。